ワイル式とは
アンドルー・ワイル博士は、
アメリカの健康医学研究家、
統合医療医学博士です。
現在、アリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大学医学校診療教授、
同校統合医学プログラム理事を勤める傍ら、
ワイル・ライフスタイル研究所を設立・運営しています。
統合医学基金創設者、
専門誌『インテグレイティブ・メディスン』編集長でもあります。
著書『癒す心、治る力』と
『アンドルー・ワイル博士の医食同源』は
アメリカでベストセラーとなりました。
400万年前にアフリカで誕生した人類のうち、
厳寒のヨーロッパに移住した一部の人類が
寒さゆえに、果物、野菜、穀物の収穫が
ままならないヨーロッパの地で仕方なく
はじめた狩猟、牧畜の結果である肉食の
習慣を基礎にしたのが栄養学です。
それが人類の基本的な生理に合わなかったからこそ、
欧米食が種々の病気を惹起してきたのです。
アンドルー・ワイル博士は国際情勢研究所の研究員として、
北アメリカ、南アメリカ、アジア、アフリカなどに出かけ、
伝統医学やシャーマニズムの現場を研究して歩きました。
その先進的な取り組みや実践的研究成果から、
代替医療、薬用植物、変性意識、治癒論などの
第一人者にして世界的権威とされるようになりました。
世界中の医療を見て歩いたアンドルー・ワイル博士は、
今日の近代西洋医学には行き過ぎた面があり、
その振り子を修正するためには
自然治癒力に立脚した医学、
つまり昔のヒポクラテスの時代に
戻らなければならないと言っています。
統合医療とは
西洋医学中心の対症療法と
東洋医学中心の原因療法を
両側面から必要に応じて取り入れる事で、
より適切な治療を施す事を目的としています。
西洋医学と東洋医学は
相容れないものではなく、
相互関係を持つ事で、
幅広い治療選択肢の提供が可能となり、
今後の医療の在り方を
大きく前進させる事になるのです。
植物は、光合成の働きによって
太陽光線からエネルギーを作っています。
草食動物は、その植物を食べる事によって
同じエネルギーを得ています。
肉食動物は草食動物の肉を食べる事で、
遠回りをして同じエネルギーを得ています。
体が大きく肉食の度合いが大きい生物ほど、
食物連鎖の上位に位置する事になります。
バターは常温で固まりますが、
オリーブ油は液状のままです。
それと同じように、
動物性脂肪は血液粘調度を増し、
血管を詰まらせやすくします。
動物性蛋白質中心の食生活をすると、
食物連鎖の頂点に立つという困った問題が生じます。
食物連鎖とは、エネルギー源として高等生物が
下等生物に依存するという依存パターンの事です。
食物連鎖の上位に位置する生物を食べるという事は、
それだけ濃度の高い有害物質を口にするという事です。
環境中の有害物質は、
食物連鎖の上位に行けば行くほど、
それだけ濃縮されるからです。
穀物には微量しか含まれない有害物質は、
それを食べる家畜の脂肪には高濃度で蓄えられます。
それに、食肉用家畜の飼育方法が家畜に
不健康な生活を強いているという問題もあります。
アンドルー・ワイル博士は理想的な食事として、
旧石器食事法、生食、菜食、地中海食、
伝統的日本食などを比較研究しています。
欧米人が好んで食べる赤身肉は、
体内に入ると腸内細菌によって代謝されて、
TMAOという物質を生み出します。
赤身肉を摂り過ぎてTMAOの値が高くなると、
動脈硬化が起こる事が分かっています。
腸内細菌が動脈硬化をもたらすのです。
一方、地中海沿岸の人たちの食事は
魚介類が中心です。
地中海沿岸の地域の人たちは
周囲の欧米人に比べて
心臓病の死亡率が低いです。
地中海周辺の国々でよく食べられているのが、
魚介類、野菜、穀物、豆類、果物、オリーブ油です。
地中海料理で使用量が少ないのが肉と乳製品です。
地中海料理はオリーブ油を多用するので
一価不飽和脂肪酸を沢山摂取できますし、
魚介類も多用するので
n-3系脂肪酸も沢山摂取できます。
実際、地中海料理を習慣的に食べる事で、
血糖値やコレステロール値が改善したり、
体重が減少するなどの効果があり、
その効果は菜食や糖質制限食よりも高いです。
四方を海で囲まれた日本の伝統食も、
海の幸や四季折々の野菜が豊富で、
肉と乳製品の使用量が少ないという点で、
地中海料理の構成と共通しています。
アンドルー・ワイル博士は日本の伝統食や
地中海の日常食を理想的な食事と位置づけています。
大半の日本人が伝統食から離れているとしても、
日本人の食生活は検討するに値します。
なぜなら、西洋社会に蔓延している冠動脈疾患や
ホルモン性の癌が日本人に比較的少なく、
日本の伝統食が、西洋型病気の罹患率の低さに
貢献していると考えられるからです。
実際に、乳癌患者が洋食を摂るのと和食を摂るのとでは、
後者の方が生存率が二倍長かったという研究報告があります。
日本の伝統食には、食材、調理法共に
世界のどこにも見られない特徴的なものがあります。
日本の伝統食の特徴
- 山菜、海藻、茸など、野生のものを食べる。
- 多様な大豆食品を日常的に摂っている。
- 魚から摂取するオメガ3脂肪酸が多い。
- 肉、乳製品の摂取量が少ない。
- 抗酸化作用の強い緑茶を飲む。
- 料理の総摂取カロリーに占める脂肪カロリーの比率が極端に低い。
ワイル式の食事メソッド
- 果物と野菜をもっと食べる事。
- 全粒穀物をもっと食べる事。
- しいたけ、えのきたけ、まいたけ、ひらたけを頻繁に摂る事。
- 緑茶を毎日飲む事。
- オメガ3脂肪酸の摂取を増やす事。
- 料理ではオリーヴ油を使う事。
- カロリー摂取量を減らす事。
- 蛋白質はすべて控え目に摂る事。
- 脂肪の総摂取量を減らす事。
- 飽和脂肪は絶対にやめる事。
- 多不飽和植物油を避ける事。
- トランス脂肪酸を避ける事。
断食療法の効果には生理学的な裏づけがあります。
消化器は普通に働くだけで大量のエネルギーを消費しています。
食を断つ事によって消化器系を休ませると、
体は大量に余ったエネルギーを治療に回す事ができます。
断食中は水とハーブティー以外は何も摂取しないようにします。
果汁を飲んだりするのは断食ではありません。
断食には短期断食と長期断食の二種類があります。
短期断食は1〜3日間、水以外は何も摂取しないようにします。
短期断食をするだけでも意識と生理が変化し、
五感は鋭くなり、頭脳は明晰になり、体は活気が出て、
生まれ変わったように爽快な気分になります。
短期断食は感染症や中毒症状の改善に最適です。
長期断食は3日以上水だけで過ごします。
必ず経験豊かな専門家のいる施設で行います。
長期断食によって、気管支喘息、慢性関節リュウマチ、
潰瘍性大腸炎などの難病が改善した例もあります。
断食を行う上での留意点
- 必ず大量の水を飲むこと。
- エネルギーを温存すること。
- 保温に注意すること。
- 分別ある復食をすること。
自然治癒力を阻害する8大要因
- エネルギー不足。
- 循環不全。
- 浅い呼吸。
- 免疫力の低下。
- 有害物質。
- 老化。
- 心理的要因。
- 霊的要因。
4・7・8呼吸法
@口から息を完全に吐き出す。
A口を閉じて鼻から4秒かけて息を吸い込む。
B7秒間息を止める。
Cゆっくりと8秒かけて口から息を吐き出す。
D1サイクルとして4回行う。
アンドルー・ワイル博士は
4・7・8呼吸法を提唱しています。
4・7・8呼吸法を実践すると、
副交感神経が優位になり、
心身の緊張を解きほぐされて、
床に就いてから1分で眠る事ができます。
安倍晋三総理大臣は4・7・8呼吸法を
取り入れているそうです。
アンドルー・ワイル博士が来日した際に
直接教わったそうです。
ストレスを緩和するリラクゼーション法
- ゆっくりと深呼吸をする。
- 花を飾る。道端の花を見る。
- ニュースを見ない日を作る。