胡麻はセサミンの宝庫
胡麻は、エジプト原産のゴマ科ゴマ属の一年草の種子です。
古代エジプトでは胡麻は
「クレオパトラの美貌を作った」
という言い伝えがあるそうです。
古代中国では、胡麻は「仙人の食べ物」とされ、
不老不死の仙薬として珍重されてきました。
インドの伝統医学アーユルヴェーダでは
胡麻油が施術で使用されています。
胡麻は古くから栽培され、
奈良時代には胡麻油を
料理に使っていたそうです。
胡麻は昔から日本人の食卓には
欠かせない大切な栄養源でした。
仏教の僧侶は肉を食べないので、
その分の栄養素を胡麻から
得ていたと言われています。
現在、日本で使用されている
胡麻の99.9%は外国産です。
輸入先は、ナイジェリア、
タンザニア、パラグアイ、
ブルキナファソ、ミャンマーなどです。
日本の胡麻の自給率は0.1%です。
国内で胡麻の生産地と言えば
鹿児島県の喜界島が有名です。
胡麻には不飽和脂肪酸と
蛋白質が多く含まれているので、
肉を食べない僧侶達の
精進料理にも利用されてきました。
胡麻に含まれている栄養素は
リノール酸、オレイン酸、メチオニン、
ヴィタミンB1、B2、B6、E、
ナイアシン、葉酸、ゴマグリナン、
カルシウム、マグネシウム、
鉄、銅、亜鉛、セレン、
不溶性食物繊維などです。
含まれる栄養素は白胡麻も
黒胡麻もほとんど変わりません。
黒胡麻の種皮の色は
アントシアニン系なので
抗酸化作用があります。
胡麻の主成分の半分以上は脂質で、
リノール酸、オレイン酸、リノレン酸などの
不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
リノール酸は細胞膜などを作る材料でもあり、
体で合成する事ができないため、
食品から摂取する必要があります。
不飽和脂肪酸には悪玉コレステロールの
発生を抑制する働きがあるため、
高血圧や動脈硬化の予防と改善に役立ちます。
胡麻に含まれているオレイン酸は
善玉コレステロールを減らさずに
悪玉コレステロールを減らしたり、
大腸まで達して潤滑油として
作用する働きがあります。
胡麻特有の抗酸化物質に
ゴマリグナンという成分があります。
ゴマリグナンは食物繊維の仲間で、
ファイトエストロゲンの一種です。
ファイトエストロゲンは女性ホルモンと
似たような働きをする植物性成分の総称で、
女性ホルモンのエストロゲンの
バランスを整える効果があります。
ゴマリグナンには、セサミン、セサモール、
セサミノール、セサモリン、セサモリノール、
ピノレジノール配糖体などがあります。
ゴマリグナンに含まれている成分の
約半分を占めるのがセサミンという物質です。
セサミンは活性酸素の働きを抑え、
細胞の老化を防ぐとされています。
筋肉の疲労回復効果も認められています。
体内の活性酸素の
約80%は肝臓で発生します。
セサミンは肝臓に直結している
門脈という血管から肝臓に到達して、
肝臓内の活性酸素に直接作用します。
セサミンには血液中の
LDLコレステロールを減らし、
血液・血管の老化を防ぐ働きがあります。
セサミンには、肝臓の働きを助けたり、
二日酔いの原因となるアセトアルデヒドという
有害物質を素早く処理する働きがあります。
最近、セサミンを多く含む新品種
「まるえもん」「まるひめ」が登場しました。
ゴマリグナンの一つであるセサミノールには
強力な抗酸化作用があり、
細胞の老化や癌化の促進因子である
過酸化脂質の生成を抑制する働きがあります。
胡麻には脂質の他に約10%の
食物繊維が含まれています。
胡麻に多く含まれているのは
不溶性食物繊維の方です。
不溶性食物繊維は水に溶けずに
腸内で水を吸って膨らみ、
それによって腸を刺激します。
胡麻を食べると
噛む回数が自然に増えるので、
満腹感が得やすくなります。
胡麻は種皮が堅いので、
粒のまま食べると消化が悪く、
栄養素が吸収されにくいため、
すってから食べるのが最適です。
胡麻に熱を加える事で、
抗酸化力が高まります。
さらにする事によって
胡麻特有の香りや風味が際立ち、
食感も良くなります。
自分でするのが面倒なのであれば、
市販のすり胡麻や練り胡麻を活用しましょう。
胡麻の摂取量の目安は
1日に大匙1杯くらいです。
健康食品の筆頭に
挙げられている胡麻ですが、
アレルギーを起こすという
意外な一面もあります。
特に子供やアレルギー体質の人は
胡麻に注意が必要です。
胡麻アレルギーかどうかは
小児科あるいは皮膚科で
スクラッチテストあるいは
血液検査を受ける事で分かります。
胡麻の品種
- 白胡麻
- 黒胡麻
- 金胡麻