白澤式とは
白澤卓二先生は、神奈川県出身の医学博士で、
順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授で、
日本抗加齢医学会理事です。
57歳の時点で体内年齢32歳、体脂肪率13%、
25年間以上スーツのサイズが変わらないそうです。
600万年前に人類の祖先は樹上生活をやめ、
地上に降りて生活するようになりました。
二足歩行を開始するようになったのは、
サバンナでの体温上昇を避けるためだと言われています。
それまで私たちの祖先は森に豊富にある
果物、木の実、木の葉などを食べる生活でした。
しかし、サバンナで効率よく栄養を摂るためには、
狩猟採集をするしかありませんでした。
250万年前から脳が次第に大きくなり
石器などを使うようになりました。
人類は石器を使う事で肉食獣が
残した骨随を食べるようになりました。
20万年前にアフリカ東部にホモ・サピエンスが出現し、
10万年前にアフリカから世界各地へ移動を開始しました。
そのまま、1万年前まで動物性蛋白質中心の食生活が続きます。
狩猟採集時代の人類は200万年に渡って
木の実、魚、動物などを主に食べていて
脂質75%、蛋白質20%、糖質5%の
比率での食生活を続けていました。
人類の細胞に存在する2万3000個の遺伝子は
長い間最も多く食べていた脂質を
分解するように設計されています。
ネアンデルタール人は人類の祖先と言われていますが
ホモ・サピエンスの祖先ではない事が分かりました。
農耕が始まる以前、2万年以上前に滅んでいたのです。
ネアンデルタール人はケトン体産生酵素に
欠損があったために滅んだという説があります。
ケトン体を作れないネアンデルタール人は
筋肉のグリコーゲンを分解して作られたブドウ糖を
脳細胞の栄養素にして生命を維持しようとしました。
しかし、糖新生によって生命を維持したとしても
筋肉の分解は避けられなくなります。
筋肉の分解が亢進すると体力の低下によって
狩猟採集ができなくなり、食糧難に陥ってしまいます。
一方、私たちの祖先のクロマニョン人は
ケトン体を作れる酵素を持っていました。
食糧難に陥っても脂質を燃やしてケトン体を作り、
筋肉を減らさずに済み、体力を温存できたので、
食糧難の時代を生き延びる事ができたのです。
約1万年前には農耕が始まり、
雑食時代が到来するようになりました。
日本では弥生時代に稲作が開始され、
狩猟生活から農耕生活へと移行するようになりました。
人類史の大半は狩猟・採集活動を
基本とした遊動生活でした。
人類が定住生活を開始し、農耕を開始し、
家畜革命をなし遂げたのは、
わずか一万数千年前の事です。
農耕が開始される新石器時代までは
糖質を得る事が非常に困難だったため、
古代人はブドウ糖ではなくケトン体を
エネルギー源にしていたと考えられます。
生まれたばかりの新生児のケトン体の
血中濃度を調べると生まれた直後は
ブドウ糖ではなくケトン体を主な
エネルギー源にしています。
出産後、数日間に分泌される初乳には
中鎖脂肪酸が多く含まれています。
中鎖脂肪酸から作られるケトン体は
新生児の脳の神経細胞の発達に欠かせません。
ブドウ糖を体内に増やさない食事スタイルを心掛ければ、
解糖系でも糖新生でもないケトン体回路が発動します。
ケトン体の元は脂肪酸です。
つまり、脂肪を溜め込む事なく、
エネルギーとして燃焼できるのです。
運動で脂肪を燃焼させるのではなく、
グリコーゲンを枯渇させる事で、
自動的に脂肪を燃焼する回路にシフトするのです。
脳を動かす栄養となる良質な炭水化物は、
約4時間分しか溜める事ができません。
糖質を断ってから5時間ほど経つとケトン体が発生するので、
少なくとも24時間以内に普段との違いを実感できるはずです。
ケトン体質になる事によって血液の状態が劇的に良くなり、
脳の働きが飛躍的に向上し、糖質に対する欲求も抑えられます。
ケトン体が出ている状態というのは狩猟民族のモードです。
だから、食欲に振り回されなくなりますし、
食後睡魔に襲われる事もありませんし、
脳のパフォーマンスも格段にアップするので、
ビジネスパーソンには最適のダイエットです。
人間の血液は弱アルカリ性に保たれています。
ケトン体は強酸性物質のため、
血液は酸性に傾いていきます。
体が酸性に傾きがちになると、
呼吸を深くして二酸化炭素を体内から排出するなど、
自然と酸と塩基の均衡を保つように働きます。
ケトン体が増える事は呼吸を深くする事にも繋がるのです。
ケトン体はアンチエイジングにも効果があります。
ケトン体を構成する主な物質であるβ-ヒドロキシ酪酸は、
活性酸素を無害化する酵素群を活性化して、
老化を防ぐ事が分かっています。
ケトン体が増えると、
長寿遺伝子FOXOが活性化され、
mTOR遺伝子が抑制され、
カロリー制限をした時と同じ
長寿モードに切り替わります。
カロリー制限をして寿命が延びたマウスや
アカゲザルを徹底的に分析すると、
寿命が延びた個体は皆ケトン体が出ていたのです。
ケトン体は長寿に繋がる新しい経路なのです。
白澤卓二先生はケトジェニックダイエットという
食事療法を提唱しています。
ケトジェニックダイエットとは、
低糖質ダイエットの進化版です。
従来の低糖質ダイエットでは脳に効率よく栄養が行かず、
頭が働かなかったり、体の不調を訴える事がありましたが、
ケトジェニックダイエットでは糖質を省く代わりに、
ココナッツオイルを積極的に摂取するようにします。
ココナッツオイルの約60%は中鎖脂肪酸です。
中鎖脂肪酸は肝臓でケトン体に分解されます。
ケトン体を大量に産生させてエネルギー源として
利用する事で脳が活性化し、
効率よくダイエットできるという訳です。
ココナッツオイルは糖質に対する欲求を低下させたり、
食欲全般を抑制する効果がある事も分かっています。
ココナッツオイルを摂取すると3〜4時間後に
ケトン体の血中濃度が最も高くなります。
ケトン体の血中濃度が高いと
糖質に対する欲求がなくなります。
食事の3〜4時間にココナッツオイルを摂ると
余計な食欲を感じないようになります。
白澤卓二先生ご自身は朝と昼過ぎに
ココナッツオイル入りコーヒーを飲んでいるそうです。
昼食はとらないそうですが空腹を感じる事なく
精力的に仕事ができているそうです。
ココナッツオイルを摂るようになってからケトン体の
血中濃度が上昇した事で脳が活性化し、
集中力が高まり、仕事の効率が
上がったように感じるそうです。
白澤卓二先生はココナッツオイルを日本全国に
浸透させるためにプロモーションを行いました。
その結果、一年間に市場は50倍くらいに拡大し、
これからさらに増加する見込みです。
一日の摂取カロリーの約20%を糖質で摂っても、
ケトン体を阻害しないという報告もあるので、
糖質をゼロにする必要はありません。
血液中の蛋白質は赤血球以外には
主に血清アルブミンとして存在します。
血清アルブミンは若さや
長寿と深く関係しており、
「余命の予知因子」とも呼ばれています。
血清アルブミンが多い人は寿命が長いです。
血清アルブミンが少ない人は寿命が短いです。
新型栄養失調の高齢者の血液を調べてみると、
血清アルブミンの量が少ない事が分かっています。
簡単な血液検査で分かりますが、
血清アルブミン値は4台程度は
最低限あった方がいいでしょう。
蛋白質の指標である血清アルブミンの減少を防ぐには、
魚と肉を日替わりで交互に食卓に並べたり、
油脂類を適度に摂る事が効果的です。
魚の脂は不飽和脂肪酸で、
肉の脂は飽和脂肪酸です。
それぞれ違う特徴があるので、
魚と肉を日替わりで交互に
食卓に並べるのが理想的です。
ブドウ糖が不足した時にエネルギー源となる優先順位の変化
- 血液中のブドウ糖
- 肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解したブドウ糖
- 筋肉などに含まれる蛋白質を分解したブドウ糖
- 脂肪酸を分解したケトン体
エネルギーを作る三つの回路
解糖系 | 糖質⇒グリコーゲン⇒ブドウ糖 |
---|---|
糖新生 | 蛋白質⇒アミノ酸⇒ブドウ糖 |
ケトン体回路 | 脂質⇒脂肪酸⇒ケトン体 |
白澤式ケトン食
朝食 | 果物と野菜の酵素スムージー |
---|---|
昼食 | 野菜+魚 |
夕食 | 野菜+肉 |
ケトン体質を強化する食生活
- スムージーを1日1回飲む。
- 蛋白質をしっかり摂る。
- 卵は1日1個食べる。
- オメガ3系脂肪酸を摂る。
- オリーヴオイルかココナッツオイルを料理に使う。
- 間食はナッツにする。
- 赤ワインを1日2杯飲む。
- 自然塩を適度に摂る。
- 加工食品の摂取を控える。
- ゆっくりよく噛んで食べる。
- 食欲がない時は無理に食べない。
- 体重と体脂肪率を測定して記録する。
- お腹が空いたら体を動かす。