塩谷式とは
塩谷信男先生は、山形県出身の医学博士で、
呼吸法とイメージ・トレーニングを組み合わせた正心調息法の創始者です。
塩谷信男先生を語る上で、
どうしても切り離せないのが、
深くご親交があった二木謙三先生です。
塩谷信男先生は、生まれつき体が弱く、
大人になるまでは生きていられないと言われていましたが、
中学校に入り教頭先生に勧められた二木式腹式呼吸法を実践し、
徐々に健康を回復していきました。
塩谷信男先生は、
京城帝国大学医学部助教授を経て、
東京渋谷に内科医院を開設し、
日本で最も流行った開業医となり、
50年以上も医療の第一線に携わってこられました。
生命線療法という独自の治療法により、
多くの患者を治療し、
東京随一の名医と言われていました。
塩谷信男先生は高齢になっても
尚健康であり続けました。
74歳でヒマラヤ・トレッキング、
90歳になられてからも何度も
ゴルフのエイジ・シューターとなり、
87歳の時に83打、92歳の時に92打、
94歳の時に94打と3回達成され、
世界記録ではないかとも言われ、
100歳の時にゴルフ・コンペで一等になられました。
100歳を超えても毎朝1時間の
ゴルフの練習を欠かさなかったそうです。
2008年3月14日に他界されましたが、
106歳近い天寿を全うされました。
呼吸は生命維持の基本です。
人間がこの世に生を受けると、
最初にする事が呼吸です。
人間は酸素がなければ三分、水がなければ四日、
食物がなければ二ヶ月で死ぬと言われています。
人間が一日に摂取する物質の
総量の85%は呼吸を介しています。
食物や水からはたったの15%ですから、
空気からの摂取量の方が遥かに多いのです。
よって、人間にとって最も重要なのは
呼吸である事が分かります。
塩谷信男先生は、現代の病気の
原因の八割は酸素の欠乏によるものとし、
腹式呼吸による深呼吸こそが
健康長寿の秘訣であると述べておられます。
呼吸は精神面にも大きな影響を与えます。
精神的に不安定な時は、
呼吸が乱れ、回数も多くなります。
リラックスしている時や睡眠前のまどろみにいる時は、
穏やかでリズミカルな呼吸になっています。
という事は、呼吸をコントロールすれば、
心もコントロールできるという事です。
緊張している時や恐怖がある時、
私たちの呼吸は浅くなります。
反対に運動している時や睡眠中は
呼吸が深くなって潜在意識と繋がりやすくなり、
メッセージを受け取りやすくなります。
自律神経の中で唯一自分の意志で
コントロールできる動作が呼吸です。
息を吸うと交感神経が優位になり筋肉は硬くなります。
息を吐くと副交感神経が優位になり筋肉は緩みます。
深呼吸をすると、
心拍数が減少し、
コルチゾールが減少し、
アルファ波が増加し、
感情を司る大脳皮質の活動が弱まり、
脳がクールダウンしてリラックスモードになります。
呼吸には胸式呼吸と
腹式呼吸の2種類があります。
胸式呼吸と腹式呼吸の大きな違いは
自律神経に与える影響です。
胸式呼吸は交感神経を刺激します。
腹式呼吸は副交感神経を刺激します。
腹式呼吸をすると、脳波が下がり、
副交感神経が優位になり、雑念が取り払われ、
脳を快の状態に保つ事ができるようになります。
現代では呼吸が浅い人が多く、
肺の三分の一しか使っていないと言われています。
浅い呼吸をしていると酸素を充分取り込めないので、
体内酸素の20%もの酸素を必要としている脳は酸欠状態になります。
呼吸が浅いと自律神経の交感神経が優位となってしまいます。
交感神経が優位になると白血球のうちの顆粒球が過剰に増えますが、
顆粒球が死ぬ時に大量の活性酸素を出して細胞を傷つけてしまいます。
肺は横隔膜の上に乗っているのですが、
腹式呼吸で横隔膜を下げて深呼吸すると、
肺の下部の方にある肺胞まで充分に膨らみ、
その肺胞を取り巻く毛細血管の壁で
プロスタグランディンI2という物質が産出されます。
プロスタグランディンI2は血管を広げて血圧を下げ、
血栓の形成を防ぎ、動脈硬化を防ぐ働きをする生理活性物質です。
玄米と白米の違いは、胚芽があるかないかです。
胚芽を残した米である玄米は、
薄く水を張った所に置いておくと芽を出します。
玄米は次代の生命を誕生させるのに必要な
すべての栄養素が含まれているのです。
これに対し、精製のために胚芽を削がれた白米は、まさに死んだ穀物と言えます。
玄米には、優れたデトックス作用があるという事も知られています。
世界で唯一の被爆国である日本で、
被爆地にいながら原爆症にかからなかった人たちがいました。
このような人たちを調べたところ、
10年以上も玄米食をしていたという共通点が分かったのです。
これは玄米の持つデトックス作用だとして、各国の学識者が見解を示しました。
塩谷信男先生の食事メニュー
- 玄米
- 生野菜
- 皮付き落花生
玄米と生野菜を中心として、
肉や魚はほとんど口にしなかったそうです。
時々、動物性食品も食べていたそうですが、
それは小魚のような全体食だったそうです。
玄米と生野菜を食べていれば栄養もあり、
病気にもならないとの事。
甘いものも砂糖ではなく、
果物などの天然食品がよいとの事。
塩谷信男先生の玄米生菜食は、
西式甲田療法にも通じるものがあります。