遠藤式とは
遠藤仁郎先生は、岡山県の医師で、倉敷中央病院名誉院長でした。
戦時中から著書や講演を通じて50年以上も青汁療法の啓蒙に努め、
自らの食生活も芋、豆、菜っ葉を自家栽培して主食とされていました。
人間は太古の昔から植物の持つ治癒力に注目してきました。
インドの古典医学アーユルヴェーダや中国の漢方医学でも、
様々な薬草の活用法が取り上げられています。
平安時代に書かれた日本最古の医学書『医心方』や、
16世紀に編纂された漢方医学の集大成『本草綱目』にも、
所謂、植物の搾り汁の健康効果が紹介されています。
果物や野菜の搾り汁を飲むという健康法自体は1,000年以上も前からあります。
これに注目して、新鮮な緑葉を搾って元祖青汁を考案されたのが遠藤仁郎先生です。
その効果は大変なもので、長男の肺炎と妻の腎臓炎を青汁療法で治癒する事に成功しています。
緑葉の搾り汁を日本で初めて「青汁」と命名したのは妻の遠藤ヒナ子夫人です。
草食肉食関係なくすべての生物は緑葉を食べずに生き延びる事はできません。
草食動物は草木の葉っぱを食べて育ち、肉食動物はその草食動物を食べて生きています。
また、私たち人間は、植物、草食動物、肉食動物を食べて生きています。
つまり、すべての生命の源は、大地のミネラルと太陽のエネルギーにあるのです。
緑葉は地球上で唯一太陽光線を食べ物に変える力を持つ生物です。
葉緑素の分子は、人間の血液の分子に酷似しています。
葉緑素を摂取する事は、健康的な輸血を受けるようなものです。
この事をあまり知らないのは人間だけです。
食料品店では人参や大根などの根菜類はほとんど葉を切り落とされて売られています。
草食動物の唯一の食べ物が緑葉である事から分かるように、
緑葉には彼らが生きるために必要な栄養分が完全に備わっています。
言い換えるなら、緑葉なしに私たちの栄養を完全にする事はできません。
体中のすべての細胞、組織、臓器の働きを完全にして、体力と免疫力を上げ、
健康な生命を維持するのは、青汁・緑葉食の他にありません。
穀物だけで動物を飼育すると、やがて病気になってしまいます。
肉だけで動物を飼育しても同様の結果になります。
カロリー源だけを与えるのは有毒だという事です。
ところが、それに緑葉を添えて好きなだけ動物に食べさせると、元気に生き延びます。
緑葉は、血を綺麗にし、カロリー源の毒を消し、病気に対する抵抗力を高めるのです。
緑色の濃い野菜の方が栄養価が高いと思われがちですが、
化学肥料を使って育てた野菜は緑が濃く、有機野菜は薄いので注意が必要です。
野菜で優秀なのは葉野菜だけで、それに比べれば他の野菜はずっと劣ります。
同じ葉野菜でも色の淡いものは駄目で、色の濃い緑葉でなければなりません。
緑葉には、動物性に匹敵する優れたたんぱく質も含まれており、
それ自体が栄養的に完全な食品であるだけでなく、
豊富なヴィタミンとミネラルによって栄養素の体内利用を促進するため、
カロリーやたんぱく質の必要量が少なくて済みます。
つまり、緑葉を充分に摂っていれば、総カロリーやたんぱく質は少しでよいのです。
大根、白菜、茄子、胡瓜など無色菜の栄養はかなり貧弱です。
優れているのは有色菜、中でも緑葉菜です。
とは言え、レタス、セリ、ネギなど色の薄いものはあまりよくありません。
また、色が濃くてもホウレン草はヴィタミンこそ多いものの、カルシウムは少ないですし、
シュウ酸を含むため、結石の原因ともなるのでおすすめできません。
質の良いものは緑色が濃くて繊維は少々固いもの、
どちらかと言えば、普通はあまり好まれず、寧ろ家畜用にまわされるもの、
ケール、大根の葉、人参の葉、カブの葉、キャベツの外葉、アブラ菜、小松菜などです。
これらの緑葉は、ヴィタミン、ミネラル共に豊富で、しかも吸収が非常に良いのです。
薬の中のヴィタミン、ミネラルは、体内で複雑な変化を受け、
生きた形すなわち酵素に変えられて初めてその働きをあらわすようになりますが、
生の緑葉の場合はもともと酵素の形なので、すぐに役立ちます。
緑葉食は完全食であり、そこから得られるヴィタミン、ミネラルの働きにより、
他の食品からのカロリーが無駄なく燃やされるため、全体として少食でも問題ありません。
葉緑素が太陽と密接に関わりのある事を知る人はあまり多くありません。
私たちにとって、葉緑素は太陽の光と同じくらい大切なものです。
人間は、太陽の光と葉緑素がなければ生きていけません。
葉緑素は、太陽のエネルギーを液体化したようなものです。
葉緑素の分子は、人間の血液中の鉄分子に驚くほど類似しています。
葉緑素は、太古の時代から奇跡的な治癒力を発揮してきました。
葉緑素には多量の酸素が含まれるため、好気性細菌を手助けする重要な役割を果たします。
緑葉野菜は、葉緑素の高酸素含有量と豊富なミネラルを併せ持ち、
地球上に存在する最もアルカリ性の高い食品です。
そして、その最適な摂取方法が青汁なのです。
栄養のバランスを完全にし、健康な体を維持するには、
一日400g〜500gの無農薬・有機栽培の緑葉野菜が必要です。
毎日の食事でそれだけの量を摂るのは大変ですが、
野菜を搾り汁にしてしまえば容易に摂る事ができます。
遠藤仁郎先生は、当初、様々な雑草、野草、野菜の廃棄物を利用し、
第二次世界大戦後にケールの豊富な栄養素に着目され、青汁療法を考案されました。
ケールは南フランスが原産地で、キャベツやブロッコリーの原種となる緑黄色野菜です。
ケールは「葉キャベツ」とも呼ばれ、欧米ではロールキャベツなどに用いられています。
ケールは現代人の食生活に不足しがちな食物繊維は勿論、
カロチン、カルシウム、鉄などのヴィタミン、ミネラル類も豊富に含んでいます。
特に美容成分として人気のヴィタミンAはキャベツの約200倍も含んでいます。
また、ヴィタミンEの含有量が多く、カリウムも多く含まれています。
さらに近年ではメラトニンが含まれている事が分かりました。
@米、麦、雑穀、雑豆、芋類は熱量源。
A肉、魚、卵、大豆製品はたんぱく質。
B野菜、山菜、海藻はヴィタミン、ミネラル源。
@Aに対し約二〜三倍の緑葉を主とするBを添えなければなりません。
遠藤定食
遠藤式の主食は、芋、豆、菜っ葉です。
栄養的には完全食なので、他に何も作る必要がありません。
一日の食事がこれだけでも事足りるのです。