築田式とは
築田多吉先生は、福井県福井市出身の軍医で、元日本海軍の看護特務大尉でした。
軍での仕事は、多くの傷病兵やその家族を看病し、手当てをする事でした。
また、彼らから故郷に伝わる民間療法の話を聞くうちに関心を深め、
自ら全国を訪ね歩いて、民間療法の研究、収集をしておられました。
1925年の著書『家庭に於ける実際的看護の秘訣』は、
厚さは6cmで、1,100ページ以上もあり、
民間医療の集大成とも言える内容で、
戦前の日本の家庭の必需品として一家に一冊は常備され、
当時の累積発行部数は1,000万部を超える超ベストセラーで、
通称『赤本』と呼ばれていました。
築田多吉先生は、古来から伝承されている薬草療法や食事療法に始まり、
鍼、灸、指圧、摩擦、日光、冷水、断食など、ありとあらゆる民間療法を収集し、
その数々を実際に試して効果のあった療法がこの『赤本』にまとめられています。
築田多吉先生の『赤本』は、貝原益軒先生の『養生訓』に匹敵するほどの名著です。
築田多吉先生は、粗食、少食、菜食主義で、徹底的に咀嚼していました。
夕食の後は、ひと休みしてから、杖を持たずに一里を一時間かけて歩き、
帰宅すると全身摩擦を行い、五右衛門風呂に浸かり、11時に寝ていたそうです。
梅肉エキス
梅肉エキスは、築田多吉先生が創製し、『赤本』で広めた和漢薬です。
梅は薬用果樹として栽培され、回虫駆除、熱冷まし、
咳止め、痰切り、吐き気改善などにも用いられてきました。
青梅をつぶして汁を弱火で煮詰めると黒色の梅肉エキスができます。
ごく最近まで家庭で作られ、非常時の貴重品として、大いに珍重されてきました。
梅肉エキスの効用としては、胃腸改善や抗菌作用などがあります。
卵油
鶏卵の黄身をフライパンでとろ火のまま加熱して炒り続けると、
焼けて黒い油の液となります。
この黒色の液体を濾したものが卵油で、
誰でも作る事ができます。
心臓病、動悸、息切れ、結滞脈などに効果があるそうです。
外用として、痔疾、火傷、瘡傷、さらに、湿疹、耳だれ、
禿頭病や若白髪にすり込むと著明の効果があるそうです。
青汁療法
人参、菠薐草、小松菜、牛蒡、春菊、野草、柿の葉などをすり潰して汁にします。
現代医学で治らなかった難病、奇病患者が、
この青汁で驚くような効果を挙げています。
小麦胚芽
ヴィタミン一切、殊にB各種、E、鉄分、多量のたんぱく質を含み、
これを服用していれば、他のヴィタミン薬は不要だから、
毎朝必ず、これを小さじ山盛り三杯を飲みます。
カルシウム
天気のいい日には夏冬共、日光浴をするので、
相乗効果の期待できるカルシウム錠剤を毎日服用します。
築田多吉先生は『赤本』の健康法を自ら実践して結核を治し、
当時としては長寿である86歳で天寿を全うしました。