蜂蜜は理想的な非常・保存食
蜜蜂が地球に誕生したのは今から
約4000年前の事であると考えられています。
その時代から現在に至るまで
蜜蜂は化石などを調べてみても
ほとんど姿を変える事なく
この地球に生存し続けています。
蜂蜜は、蜜蜂が花から採取した蜜を、
体内酵素によって分解・濃縮・貯蔵したもので、
世界で一番最初の天然甘味料として知られています。
紀元前6000年頃に描かれたスペイン東部のアラニア洞窟では、
蜂蜜を集めている裸の女性の壁画が発見されています。
紀元前2600年頃のエジプトの壁画には、
蜂蜜の採集から保存までの様子が詳細に描かれています。
1913年にエジプトのピラミッドで発見された蜂蜜は
3300年経っても全く変質していなかったと言われています。
蜂蜜はその殺菌作用と保湿効果の高さから
古代エジプト、ローマ、インド、中国など、
世界中のあらゆる文明において薬や
美肌の媚薬としても広く重宝されてきました。
ギリシャ神話の最高神ゼウスは
「神々の食べ物である蜂蜜によって育てられた」
とされています。
古代ギリシャの哲学者プラトンは
「蜂蜜は永遠の若さと美と強さをもたらす秘薬」
と称賛しました。
医学の父ヒポクラテスをはじめとする偉大な医学者たちは、
医療現場で、特に視力や内臓の回復、
傷の治療に蜂蜜を用いていました。
古代エジプト時代医学書『エルベスパピルス』には
蜂蜜を用いた147もの処方が記されています。
クレオパトラは美容のために蜂蜜を
この上なく愛用していたそうです。
わずか18才で没したツタンカーメン王は、
蜂蜜の壷と共に埋葬されたそうです。
アリストテレスの教えを受けて
アレキサンダー大王は
自分の遺体を蜂蜜漬けにして、
バビロンからアレキサンドリアまで
運ばせたと伝えられています。
エジプトのピラミッドから発掘された蜂蜜は
今でも食べられるほど高い殺菌力があります。
イギリスには
「蜂蜜の歴史は人類の歴史」
という諺があります。
インドの伝統医学アーユルヴェーダでも
蜂蜜は医薬として扱われていました。
漢方薬の原典ともいえる明の李時珍の『本草綱目』では、
蜂蜜は万病に効き、常用すれば不老長寿の薬であると記載されています。
漢方では今でも非常に多くの薬に蜂蜜が配合されています。
日本で蜂蜜が登場するのは飛鳥時代の日本書紀で、
養蜂を試みたが失敗に終わったと記録されています。
平安時代には蜂蜜は宮中への
貢物として貴重な品だったようです。
蜂蜜を常食する養蜂家が沢山いる村には、
100歳を超える長寿者が多いと言われています。
長寿地域のグルジアやアゼルバイジャンでは
甘味料として蜂蜜が用いられています。
昔からフランスでは朝に蜂蜜を摂るのが習慣で、
宿の朝食に蜂蜜の小瓶がジャムなどと一緒に
選り取り見取りという感じで何種類も出てきます。
アメリカ東北部のバーモント州に
昔から長寿の人が多いのは
当地の人々が林檎酢に蜂蜜を入れて
飲む習慣があるからだとされています。
古来、蜂蜜は目の治療薬として重宝され、
最近では蜂蜜の目薬も開発されるようになりました。
普段の疲れ目を和らげるのに
蜂蜜の点眼は大変有効です。
1876〜1877年、日本に西洋蜜蜂が導入されました。
天然蜂蜜は今でも日本薬局方で
れっきとした医薬品に指定されています。
蜂蜜は、風邪、インフルエンザ、虫歯、歯周病、胃潰瘍、
花粉症などを予防するための栄養剤、抗菌剤となります。
医薬品としての蜂蜜の一番の得意分野は、
傷ついた細胞、特に粘膜の修復です。
蜂蜜は外傷、皮膚、粘膜の損傷、炎症に
素晴らしい治癒効果を持つ事が分かっています。
蜂蜜が発生させる過酸化水素による殺菌力は、
肌の上の善玉常在菌を傷めずに
悪玉菌だけを撃退してくれます。
蜂蜜を常備しておくという事は、
家にちょっとした薬局がある事に等しいのです。
一匹の蜂が一生に集める蜂蜜の量は
小匙一杯だと言われています。
薬として使いたいなら、
精製、加糖、加熱のない天然の
純粋な蜂蜜を選ぶ事がが基本です。
精製、加糖、加熱された蜂蜜は、
本来の栄養素の分量が減ったり変質してしまっており、
天然の純粋な生蜂蜜が持つ効能は期待できません。
蜂蜜の効能を求めるなら、
産地の公害や農薬の状況、製造過程などにも
心配りをする必要があります。
蜂蜜は、約8割の糖分と約2割の水分によって構成され、
ヴィタミン、ミネラル、アミノ酸、有機酸など、
約190種類の栄養素が濃縮されており、
美容にも健康にも優れた食材です。
蜂蜜の75〜82%は糖質で、
主成分は果糖・ブドウ糖です。
果糖・ブドウ糖は単糖類なので、
二糖類や多糖類などのように消化や分解の過程がなく、
そのままの形で速やかに体に吸収されます。
果糖は摂取後、約30分で利用が始まります。
蜂蜜に含まれる果糖や麦芽糖は膵臓に負担を掛けません。
蜂蜜には血糖値を一定限度以上には高めない
自動的な調節作用があるとされています。
果糖はブドウ糖と異なり、
その利用にインスリンを必要としないため、
糖分の過剰摂取の際に起こるインスリン過剰分泌による低血糖や、
それに続いて起こるアドレナリン分泌による不快感がありません。
蜂蜜の有機酸には、酢酸、塩酸、酪酸、
クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、
ピログルタミン酸、コハク酸などが含まれています。
蜂蜜に含まれる有機酸のグルコン酸は、
大腸まで届いてビフィズス菌を増やすため、
腸内環境を整える効果が期待できます。
蜂蜜は美肌作用のあるヴィタミンB6やニコチン酸が豊富で、
美白成分として知られるヴィタミンCも含まれています。
食用はもちろん肌に直接塗るのも効果的と言われています。
蜂蜜には高い吸水性と浸透性があり、
保湿効果が抜群で、
肌を潤わせ、
乾燥するのを防ぎ、
ヴィタミンB群やナイアシンなど蜂蜜に
含まれる豊富な成分が肌荒れを防ぎます。
蜂蜜はpH3.2〜4.9の弱酸性の食品ですが
体内に吸収された後は有機酸とミネラルにより
アルカリに変わる性質を持っています。
蜂蜜の食べ方にはルールがあります。
必ず非加熱の生の蜂蜜を
空腹時に単独で食べて下さい。
蜂蜜は40度以上の熱を加えると
純粋な質が失われて毒素になってしまいます。
蜂蜜はオーラルケアにも使えます。
蜂蜜はミュータンス菌の活動を抑えるため、
虫歯の原因になる事はまずありません。
入浴の際、髪や顔や腕など
目的箇所に塗る蜂蜜パックもお勧めです。
蜂蜜は就寝前に摂るのが理想的です。
蜂蜜には鎮静作用があり、
ストレスを緩和する安眠剤でもあります。
蜂蜜の糖分は果糖やブドウ糖などの単糖類なので、
消化器に負担を掛ける事なくすぐに吸収されて
脳にも体にも速効の疲労回復剤となります。
就寝前に蜂蜜を摂ると安眠・熟睡を誘い、
睡眠中の細胞燃焼の効率を
良くするとも言われています。
蜂蜜だけでも睡眠薬としての効果はありますが、
林檎酢と混ぜると一層効果が高くなります。
蜂蜜は備蓄しておく事ができるので、
緊急災害時の備えとして
置いておくと安心感が違います。
蜂蜜はpH4程度の弱酸性なので、
腐る事がなく長期保存できます。
きちんと蓋を閉めて常温で保存しましょう。
夏場は風通しが良くて直射日光が
当たらない場所に保存して下さい。
冷蔵庫に入れるとより結晶が
できやすくなるので注意が必要です。
蜂蜜の品種
- レンゲ
- アカシア
- ミカン
- リンゴ
- マロニエ
- タンポポ
- ボダイジュ
- そば
- クローバー
- ライチ
- ロンガン
- ナタネ
- ブルーベリー
- ブルーウィード
- マヌカ
- ラベンダー
- かき
- びわ
- あざみ
- キンモクセイ
- コーヒー