玉葱とは
玉葱は、アフガニスタン近辺の中央アジア原産のユリ科の越年生草本です。
ヨーロッパでは4000年以上も前から栽培されており、
ヘロドトスも古代エジプトのピラミッドの建設に従事した奴隷に玉葱と大蒜を食べさせて、
仕事の効率を上げたそうです。
イギリスには「一日一個の玉葱は医者を遠ざける」という諺があり、
台所や病室には玉葱を置いて、厄病除けのお守りとして用いてきました。
玉葱は野菜の中で最も糖質が多く、
果糖、ブドウ糖、ショ糖がほぼ同量ずつ含まれています。
ヴィタミンB1、B2、Cの含有量が多く、特にヴィタミンCは、
同じく含有成分のケルセチンと協同して、血管をしなやかに、かつ丈夫にして、
高血圧、脳血栓、心筋梗塞などの血管病の予防と改善に効果的です。
韮、大蒜、葱と同じくアリウム属の野菜である玉葱には、
硫化アリルが含まれています。
硫化アリルは硫黄化合物の一種で、
血液の凝固を抑制し、
血液を綺麗にする働きがあるので、
血栓や動脈硬化の予防になります。
硫化アリルは加熱により消失しますので、
生食するのが一番良いです。
硫化アリルは水溶性ですので、
水に晒し過ぎると大半が流れ出てしまいます。
玉葱を切ると壊れた細胞から酵素が出てきて、
それがイソアリインを分解し、
催涙性の辛味成分チオスルフィネートを生成します。
チオスルフィネートには、
血栓予防や抗ヒスタミン作用の効果がある事が知られています。
玉葱に含まれている含硫アミノ酸には、
男女共にテストステロン値を上げる働きがあります。
玉葱に含まれている辛味成分の硫化プロピルという物質には、
血管を広げて流血を良くして血圧を下げたり、
ブドウ糖の代謝を促進して血糖値を下げる効果が期待できます。
硫化プロピルは生の玉葱に沢山含まれています。
玉葱は交感神経を興奮させるノルエピネフリンを出すので、
体温が上がり、脂肪を燃焼させる事が分かっています。
玉葱にはオリゴ糖が多く含まれています。
オリゴ糖には善玉菌のビフィズス菌を増やす働きがあり、
腸内環境を整える効果があります。
玉葱の含有成分として特筆すべきはグルコキニンで、血糖降下作用があります。
イギリスのオーガスチンという人が犬を使って興味深い実験をしています。
犬の膵臓を摘出すると、その犬は四日で死んでしまいます。
ところが、膵臓を取って、その後で玉葱を常食させると、その犬は60日も長生きしました。
つまり、玉葱がインスリンの代わりをするのです。
玉葱に含まれる数百種類の含硫有機成分の相乗効果によると考えられます。
文京第一医院では、玉葱を糖尿病や高血圧の食事療法に用いているそうです。
玉葱には鎮静作用があり、生玉葱を切って枕元に置いておくとよく眠れるようになります。
1996年、オランダから報告された「食生活と癌発生率の関係」という論文では、
55~69歳の男女12万852名を対象に3年間追跡調査を行ったところ、
玉葱を一日半個以上食べる人は、
全く食べない人より胃癌発生リスクが50%も減少したそうです。
2009年、イランから報告された611名を対象とした研究結果によると、
玉葱を1日1個以上食べる人は、週に2回以下の人に比べ、
胃癌発生リスクが66%も減少したそうです。
その他にも、スペインやイタリアなど世界各国で、
玉葱の胃癌予防効果が確認されています。
玉葱に含まれるケルセチンに癌を予防する効果が期待されています。
ケルセチンはポリフェノールの一種で、
癌に対して抗酸化物質として働きます。
ケルセチンは特殊な栄養素ではなく、
トマト、オレンジ、林檎、ワインなどにも含まれていますが、
中でも玉葱には最も多く含まれています。
胃癌とは胃の粘膜の細胞が癌化してしまう病気で、
その最大の原因とされているのがピロリ菌です。
ピロリ菌が胃に棲み着いていると活性酸素が大量に発生し、
胃の粘膜にある正常な細胞を攻撃し続けます。
その傷ついた細胞がやがて癌細胞へと変化し、
ついには胃癌になってしまうと考えられています。
玉葱に豊富に含まれるケルセチンは、
この増え過ぎた活性酸素を中和して、
無害化する働きがあります。
【胃癌予防が期待できる玉葱の賢い調理法】
①切った後に水に晒さない。
②汁物に入れて丸ごと食べる。
ケルセチンは水溶性なので、
水に晒すと成分が失われやすいです。
ケルセチンは水に溶けやすいという事ですので、
ただ溶けた分を丸ごと食べてしまえばいいという事で、
ケルセチンを効果的に摂るには、
シチューやスープなどがメニューとしてお勧めです。
ケルセチンは熱に強いため、
長時間煮込んでも失われにくいです。
玉葱の品種
- 黄たまねぎ
- 白たまねぎ
- 新たまねぎ
- 赤たまねぎ
- 葉たまねぎ
- 小たまねぎ
玉葱の薬効
- 疲労回復
- 精神安定
- 不眠解消
- 血栓症予防
- 高血圧予防
- 糖尿病予防
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