ニンニクとは
ニンニクは中央アジアのキルギス地方原産のユリ科の多年生草本です。
『旧約聖書』にも記載されているほど歴史は古く、
エジプト、ギリシャの時代から栽培されていました。
古代エジプトではニンニクは大変珍重され、
貨幣として扱われた事すらあるのだそうです。
ツタンカーメン王の墓の中には、
数々の金やラピスラズリと共に、
乾燥されたニンニクが発見されています。
ニンニクは強壮剤や媚薬としても使われ、
クレオパトラも愛用していたとの事です。
世界最古の薬物治療書『エーベルス・パピルス』には、
ニンニクを含む22の処方が記載されています。
ギザのピラミッドは古代最大の建造物であると言われていますが、
これは、毎日20万人の労働者を3ヶ月交替で働かせて
20年の工期で完成したそうです。
この時のスタミナ源がニンニクで、
その消費されたニンニクの量がピラミッドに記録されているそうです。
古代ローマ時代、紀元1世紀頃にディオスコリデスの著書『薬物誌』には、
咳止めや寄生虫の駆除など急性疾患の治療薬としてニンニクが紹介されています。
古代ギリシャやローマ時代から「ニンニクは農民のための万能薬」とされていました。
古代ローマでは、周辺の国を征服するために戦力を強化する必要があり、
ローマの兵士たちは出陣前にニンニクを食べて精気をつけたと言われています。
古代インドの医学書『アーユルヴェーダ』には、
ニンニクの薬効が記載されています。
インド最古の法典『マヌ法典』では、
バラモン教の司祭がニンニクを食するのを禁じています。
万里の長城建設の際、過酷な労働をさせられた奴隷たちに報酬として与えられたのもニンニクでした。
中国では、ニンニクなしでは食は成り立たないと言われています。
日本には、十世紀頃中国より伝わり、
『古事記』『日本書紀』には「悪疫退散のために用いられた」と記されています。
19世紀初頭にイギリスのロンドンで伝染病が蔓延した時も、
ニンニクを常食していたフランス人牧師だけが病気にならなかったそうです。
米国立癌研究所が癌予防の観点から4万人以上を対象とした疫学調査に基づいて、
127種類の食品をランク付けし、
デザイナーフーズプログラムとして発表しました。
統計学的に癌の発生を抑制する効果があると証明されたのがニンニクでした。
国内のニンニク生産量の約8割を占める青森県では6月下旬から収穫が始まります。
市場には年間を通して出回りますが、
乾燥したてで出荷される7月頃が最も高品質とされています。
ニンニクには殺菌作用があり、
別名「畑の抗生物質」とも呼ばれています。
ニンニク特有の香りと辛みは、アリシンという成分によるものです。
アリシンには血液を綺麗にする作用があるため、
血栓や動脈硬化の予防に効果があります。
アリシンとヴィタミンB1が結び付くと、
アリチアミンという物質が形成されます。
アリチアミンはヴィタミンB1を効率よく吸収できるだけでなく、
腸管に存在するヴィタミンB1分解酵素にも分解されず、
ヴィタミンB1の生体内利用を高めます。
ヴィタミンB1は糖をエネルギーに変換するので、
疲れにくい体を作ってくれます。
ニンニクは、すべての野菜の中で硫黄を最も豊富に含んでおり、
この硫黄と同属の元素セレ二ウムが有機セレンとして含まれています。
セレンはミネラルの中の必須微量元素の一つで、
体の中で過酸化脂質を分解する抗酸化酵素の主成分です。
このため、ニンニクの抗癌作用は野菜の中で最強と言われています。
生ニンニクが熟成・発酵される過程において、
アリシンが分解されS-アリルシステインが新しく生成されます。
S-アリルステインには、
大腸癌を予防する効果があると言われています。
S-アリルシステインは黒ニンニク特有のもので、
生ニンニクには含まれていません。
S-アリルシステインは水溶性ですので、
腸から速やかに吸収され、
血液中に入り体を巡回した後、素早く排出されます。
従って、過剰摂取などの心配がありません。
ニンニクを細かく刻んだり、
すりおろすなどして
ニンニクの細胞を破壊する事で
酵素の働きが活発になります。
ニンニクを細かく刻んだ後、
10分ほど放置してから使用すると、
酵素が充分活性化されるので、
ニンニクの薬効がさらに高まります。
ニンニクは刺激が強いので、
多食すると貧血になったり、
胃腸の粘膜を荒らしたり、
目を傷めたりするという報告もあります。
生食でも火食でも一日二片以内を
目安にするのがよいでしょう。
ニンニクを買う際は、
皮がしっかりと重なっていて、
ふっくら丸みがあるものを選ぶようにしましょう。
ニンニクの品種
- 壱州早生
- 遠州極早生
- 上海早生
- 嘉定白
- ホワイト六片
- 福地ホワイト
ニンニクの薬効
- 殺菌作用
- 駆虫作用
- 整腸作用
- 発汗作用
- 利尿作用
- 高血圧予防
- 糖尿病予防
- 血液循環作用
- 悪玉コレステロール降下作用
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